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それでも夜は明ける
12 Years a Slave

2014年3月7日(金)TOHOシネマズ みゆき座 他、全国ロードショー


■ストーリー
 1841年、アメリカ・ニューヨーク州サラトガ。バイオリニストのソロモン・ノーサップ。妻は腕の良い料理人で、幼い娘と息子も元気に育っている。ソロモンは生まれた時から自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた。

 ある時、知人の紹介で、ワシントンで開催されるショーでの演奏を頼まれる。契約の2週間を終え、興行主と祝杯をあげたソロモンは、いつになく酔いつぶれてしまう。翌朝、目が覚めると、ソロモンは小屋の中で、手と足を重い鎖につながれていた。様子を見に来た男たちに身分を告げるが、彼らは平然と「おまえは南部から逃げてきた奴隷だ」と宣告し、認めないソロモンを激しく鞭打つ。

 興行主に騙されて売られたと気付いた時には、既に船の上だった。屈強な二人の黒人たちと共に反乱を目論むが、女を助けようとした一人が虫でも潰すように刺し殺されるのを見て、抵抗が無駄だと悟る。

 ニューオーリンズの奴隷市場に着くと、奴隷商人から無理やり“ソロモン”という名前すら奪われ、男も女も全員裸で並べられ、子どもは「将来は立派な家畜になりますよ」と紹介される。こうしてソロモンは、大農園主のフォードに買われていく。

 


■キャスト
キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、
ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ、
ポール・ジアマッティ、ルピタ・ニョンゴ、
サラ・ポールソン、ブラッド・ピット、 アルフレ・ウッダード
 




       

 

 有能なソロモンはすぐにフォードに気に入られるが、大工のティビッツからは何かと難癖をつけられる。ついにソロモンの中で何かが弾け、殴りかかるティビッツに反撃してしまう。仲間を引き連れて戻ってきたティビッツは、ソロモンの首に縄をかけて木に吊るす。監督官が彼らを銃で追い払うが、フォードが戻るまで、ソロモンはかろうじて爪先が地面に着く状態で何時間も放置される。
フォードは面倒を起こすソロモンを、借金返済を兼ねてエップスに売る。フォードは優しい主人だったが、所詮奴隷は“財産”なのだ。広大な綿花畑を所有するエップスに仕え始めたソロモンは、今まではまだ地獄を覗いていただけだと悟る。エップスは、とても正視できない暴力で奴隷たちを支配し、まだ年若いパッツィーをサディスティックに弄ぶ。ソロモンに信頼を寄せたパッツィーは、ある夜「自分を殺してくれ」と頼むが、彼にはできない。

 焼け付く太陽の下でひたすら綿を摘み、少ないと鞭打たれ、逃亡奴隷の処刑を目撃し、信じた白人に裏切られ、仲間であるパッツィーの鞭打ちを命じられる──絶望の暗黒の中、ソロモンを支えたのは、もう一度家族に会いたいという願いだけだった。そしてソロモンは、カナダ人の奴隷解放論者バスに、最後の望みを託す・・・・


※   ※   ※

 

       
 






       


■プロダクション・ノートより


本作の原作は、南北戦争が勃発する8年前の1853年に出版されベストセラーとなった、アフリカ系アメリカ人ソロモン・ノーサップの回想録である。この生まれながらの自由黒人だった彼が強いられた、12年間に亘る生々しい奴隷生活が描かれた手記では、従属するとはどういうことかが暴露されている。

1865年まで続いた奴隷制度で、約1100万人のアフリカ人がアメリカ大陸へ渡った。そのうち約40万人がアメリカ合衆国に連行され、彼らの子孫は約400万人にまで増加した。1808年に海外からの黒人輸入が禁止されてからは、奴隷の供給がストップし価格が高騰、ソロモンのような自由黒人を誘拐しては売り飛ばすという犯罪が増加した。奴隷の物語は多々出版されたが、自由黒人から奴隷の身となった経験を記したのはソロモン一人であり、同じ自由な身を持つ人間の体験として誰もが共感できたため、当時大変な反響を呼んだ。

本作の監督スティーヴ・マックィーンは、この原作に出会う前から同様の企画を考えていた。自由の喜びと鎖につながれる苦しみの両方を経験した男の視点から、アメリカ奴隷制度を描きたいと思っていたのだ。この着想を妻に話したところ、彼女がソロモンの回想録を見つけてきた。マックィーンは、この信じられない実話に驚愕したという。「人間が驚くほど非人間的な扱いを受けた注目すべき物語だ。ある男が家族から引き離され、暗いトンネルに引きずり込まれる。ただ、その先には光が見えるんだ」

マックィーンは、ソロモンの物語を今すぐ世界に伝えるべきだと決意。「アンネの日記」と同じく、世界の歴史において重要だと感じたのだ。「観客はソロモンに感情移入し、自分に彼のような勇気と尊厳があるだろうかと考える。物語のテーマは、愛する家族のもとへ帰るという希望だ。希望は過酷さに勝つんだよ」


 

 









■監督・製作 :スティーヴ・マックィーン

1969年、イギリス・ロンドン生まれ。
彫刻家、写真家としても活動しており、99年にはロンドンの現代芸術複合センターICAなどでエキシビションを行い、イギリスの美術賞ターナー賞Rを受賞。その他、シカゴ美術館、パリ市立近代美術館、ドイツの現代アート世界博覧会ドクメンタ(02、07)、第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ(09)などで展覧会を開催し、その作品は、テート美術館、MoMA、ポンピドゥ・センターなど世界中の美術館に所蔵されている。
02年に大英帝国勲章4位、11年には3位を与えられる。
03年にはロンドンの帝国戦争博物館よりイラク戦争の公式戦争アーティストに任命され、「Queen and Country」という連作プロジェクトで物議を醸している。
長編映画デビューは、脚本も務めた08年の『Hunger』。カンヌ国際映画祭カメラ・ドール他、数多くの賞を受賞。長編第2作となる『SHAME−シェイムー』(11)では、ヴェネチア国際映画祭の男優賞と国際批評家連盟賞を受賞、英国アカデミー賞R、英国インディペンデント映画賞R、インディペンデント・スピリット賞Rなど多くの賞にノミネートされた。



■スタッフ
監督:スティーヴ・マックィーン
脚本・製作総指揮:ジョン・リドリー
撮影:ショーン・ボビット
美術:アダム・ストックハウゼン
衣装:パトリシア・ノリス
編集:ジョー・ウォーカー
音楽:ハンス・ジマー
製作:ブラッド・ピット

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://yo-akeru.gaga.ne.jp/index.html

(C)2013 Bass Films, LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l. All Rights Reserved.

原題:12 Years a Slave
TWELVE YEARS A SLAVE
2013年/アメリカ・イギリス合作/134分
日本語字幕:
配給:ギャガ