複製された男
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■キャスト ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、 サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ |
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嫌な焦燥感に駆られてエージェンシーを訪ねたアダムは、センクレア宛の郵便物を入手する。センクレアの本名はアンソニー・クレアで、郊外のマンションに住んでいることが判明する。おそるおそるアンソニーの自宅に電話をかけると、応対した彼の妻ヘレンはアダムの声質があまりにも夫に似ているため悪戯と思い込んでしまう。 二度目の電話でようやくアンソニーと直接話すことができたアダムは、今の自分が直面している不可解な事態を説明し、面会の約束を取りつけようとする・・・
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ジェイクが自分を相手に演技をするシーンは、二重性についてどうリアルに見せるかが課題であり、心理的にも技術的にも大きな挑戦となった。製作チームは、Mo-Sysと呼ばれる特別なモーション・コントロールシステムを持ちこんだ。これは繊細なカメラ・ムーブメントを2回以上繰り返せるようプログラミングできるもので、これにより、ひとつのシーンをまったく同じように何度も撮影できる。アダムでワンテイク撮り、リセットして、もうひとりのキャラクター、アンソニーでまったく同じ動きを撮影するのだ。Mo-Sysを使う上でもっとも大事なことは目線であり、彼が自分の正面にいるキャラクターを直視しているように見せることだった。テニスボールをくっつけたC−スタンドをジェイクのもう一人のキャラクターに見立て、モニターで直前のショットを確認した後に位置を検証していく。ジェイクはこの撮影で、常に方向感覚を見失っているような奇妙な感覚があったと述べている・・・ 物語に登場する二つのアイデンティティー(アダムとアンソニー)には、それぞれに固有の特徴が必要だったが、共通点もまた必要だった。この二つのアイデンティティーを差別化しつつも繋がりを持たせるために、脚本(の書き分け)と演技に加え、撮影スタイルやプロダクション・デザインなど多くの要素が取り入れられた。撮影監督のニコラ・ボルデュクとプロダクション・デザイナーのパトリス・ヴァーメットとドゥニは撮影前から入念に話し合い、特別なフィルターやレンズ、カメラ・ムーブメントやライティング・テクニックを導入することにした。
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■監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 1967年カナダ、ケベック州出身。 1998年の映画デビュー作「UN 32 AOUT SUR TERRE」(未)がカンヌ国際映画祭に正式出品された。2000年には、第2作目『渦』がベルリン国際映画祭批評家協会賞、SACD賞などを受賞。ケベック映画賞では作品賞、監督賞を含む9部門、ジニー賞では作品賞を含む5部門を受賞した。 2008年短編「NEXT FLOOR」(未)が世界各国150以上の映画祭で上映され、カンヌ国際映画祭批評家週間でカナルプリュス最優秀作品賞に選ばれ、ジニー賞、ケベック映画賞の短編賞を含む70以上の賞を受賞した。 ■スタッフ 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 原作:「複製された男」(ジョゼ・サラマーゴ著、彩流社刊) 脚本:ハビエル・グヨン 撮影:ニコラ・ボルデュク 美術:パトリス・ヴァーメット 衣装:レネー・エイプリル 編集:マシュー・ハンナム 音楽:ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ 製作:ニヴ・フィッチマン、M・A・ファウラ |
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原題:Enemy |
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