home
home

 

複製された男
Enemy

2014年7月18日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー


■ストーリー
 大学の歴史講師アダム・ベルは、何の刺激もない平凡な毎日をリピートするように生きていた。高層マンションの住まいは、アダムの空虚な心を象徴するかのようにがらんどうで、キャリアウーマンの恋人メアリーとの関係は終わりに近づいている。
 我が子の将来を案じた母親はしょっちゅう電話をかけてくるが、それもアダムの気を滅入らせるだけだった。

 そんなある日、大学の同僚からの勧めで『道は開かれる』という映画をDVDで鑑賞したアダムは、目を疑う場面に出くわした。何とホテルのボーイ役を演じている俳優が、アダム自身にそっくりだったのだ。エンドクレジットを手がかりに特定したその俳優の名前はダニエル・センクレア。いても立ってもいられなくなったアダムは、センクレアが所属するエージェンシーのホームページでフィルモグラフィーを調べ、過去の出演作をDVDで確認する。やはりそこに映っていたのは、アダムとまったく同じ風貌を持つ男だった。

 


■キャスト
ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、
サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ
 




       

 

 嫌な焦燥感に駆られてエージェンシーを訪ねたアダムは、センクレア宛の郵便物を入手する。センクレアの本名はアンソニー・クレアで、郊外のマンションに住んでいることが判明する。おそるおそるアンソニーの自宅に電話をかけると、応対した彼の妻ヘレンはアダムの声質があまりにも夫に似ているため悪戯と思い込んでしまう。

 二度目の電話でようやくアンソニーと直接話すことができたアダムは、今の自分が直面している不可解な事態を説明し、面会の約束を取りつけようとする・・・


※   ※   ※

 

       
 





       


■プロダクション・ノートより

ジェイクが自分を相手に演技をするシーンは、二重性についてどうリアルに見せるかが課題であり、心理的にも技術的にも大きな挑戦となった。製作チームは、Mo-Sysと呼ばれる特別なモーション・コントロールシステムを持ちこんだ。これは繊細なカメラ・ムーブメントを2回以上繰り返せるようプログラミングできるもので、これにより、ひとつのシーンをまったく同じように何度も撮影できる。アダムでワンテイク撮り、リセットして、もうひとりのキャラクター、アンソニーでまったく同じ動きを撮影するのだ。Mo-Sysを使う上でもっとも大事なことは目線であり、彼が自分の正面にいるキャラクターを直視しているように見せることだった。テニスボールをくっつけたC−スタンドをジェイクのもう一人のキャラクターに見立て、モニターで直前のショットを確認した後に位置を検証していく。ジェイクはこの撮影で、常に方向感覚を見失っているような奇妙な感覚があったと述べている・・・

物語に登場する二つのアイデンティティー(アダムとアンソニー)には、それぞれに固有の特徴が必要だったが、共通点もまた必要だった。この二つのアイデンティティーを差別化しつつも繋がりを持たせるために、脚本(の書き分け)と演技に加え、撮影スタイルやプロダクション・デザインなど多くの要素が取り入れられた。撮影監督のニコラ・ボルデュクとプロダクション・デザイナーのパトリス・ヴァーメットとドゥニは撮影前から入念に話し合い、特別なフィルターやレンズ、カメラ・ムーブメントやライティング・テクニックを導入することにした。
特殊な撮影方法で緊張感を作り出したり、物語を違うレベルに持って行くため特別なカラーパレットを使用。結果、それがとても様式化された印象を与えることとなった。ほとんどの色をカメラで調整し、フィルターの正しい配合を見つけた瞬間に作品が視覚的にまとまっていったという。


 

 









■監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
1967年カナダ、ケベック州出身。
1998年の映画デビュー作「UN 32 AOUT SUR TERRE」(未)がカンヌ国際映画祭に正式出品された。2000年には、第2作目『渦』がベルリン国際映画祭批評家協会賞、SACD賞などを受賞。ケベック映画賞では作品賞、監督賞を含む9部門、ジニー賞では作品賞を含む5部門を受賞した。

2008年短編「NEXT FLOOR」(未)が世界各国150以上の映画祭で上映され、カンヌ国際映画祭批評家週間でカナルプリュス最優秀作品賞に選ばれ、ジニー賞、ケベック映画賞の短編賞を含む70以上の賞を受賞した。
2009年には長編3作目「POLYTECHNIQUE」(未)がトロント映画批評家協会の2009年度カナダ映画ナンバーワンの座に輝き、ジニー賞では作品賞と監督賞を含む9部門を、そしてケベック映画賞では監督賞を含む5部門を受賞した。
長編4作目となる『灼熱の魂』(10)は第83回アカデミー賞R外国語映画賞にノミネート。ナショナル・ボード・オブ・レビューは同作品を2011年度最優秀外国映画5本の1本に選出、ニューヨーク・タイムズでもベストテンに選ばれた。『プリズナーズ』(13)ではジェイク・ギレンホールと組んでいる。




■スタッフ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:「複製された男」(ジョゼ・サラマーゴ著、彩流社刊)
脚本:ハビエル・グヨン
撮影:ニコラ・ボルデュク
美術:パトリス・ヴァーメット
衣装:レネー・エイプリル
編集:マシュー・ハンナム
音楽:ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ
製作:ニヴ・フィッチマン、M・A・ファウラ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
fukusei-movie.com

(C) 2013 RHOMBUS MEDIA (ENEMY) INC./ROXBURY PICTURES S.L./9232-2437 QUEBEC INC./MECANISMO FILMS, S.L./ ROXBURY ENEMY S.L. ALL RIGHTS RESERVED.

原題:Enemy
2013年/カナダ・スペイン合作/英語/シネマスコープ/カラー/ドルビーデジタル/90分
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム