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ジゴロ・イン・ニューヨーク
Fading Gigolo

2014年7月11日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開


■ストーリー

 「希少な本を買う人が、今では希少になった」と、自分の商才の無さを棚に上げ、友人のフィオラヴァンテにボヤくマレー。ブルックリンで、祖父が始め、父が引き継いだ本屋を、彼の代でたたむことになったのだ。
 4人の子どもを抱えて失業したマレーは、偶然舞い込んだ儲け話に飛びつく。かかりつけの皮膚科の女医パーカーから「私とレズビアンのパートナーとのプレイに男を入れたいの」と相談されたマレーは、「一人いるけど、1000ドルかかるよ」と持ちかけたのだ。
 マレーの頭に浮かんだのは、友人フィオラヴァンテだった。フィオラヴァンテは、最初はマレーの話に頭がおかしくなったのかと呆れる。しかし、「君はモテた。セクシーだ」などとおだてられるうちに、すっかりマレーのペースに乗せられていた。

 「まずは、お試しさせて。私と彼の二人で」と注文するパーカーと商談成立、モダンアートで飾られたハイセンスなパーカーの高級マンションで、フィオラヴァンテはジゴロデビューを果たす。フィオラヴァンテが持ち帰った封筒には、500ドルの“チップ”も入っていた。
 味をしめたマレーは絶妙な営業トークで客層を広げていく。商売は大繁盛、どうやら女性の気持ちを理解できるという、フィオラヴァンテの“隠れた才能”が、彼女たちを惹きつけるらしい。

 


■キャスト
ジョン・タトゥーロ
ウディ・アレン
ヴァネッサ・パラディ
リーヴ・シュレイバー
シャロン・ストーン
ソフィア・ベルガラ
 




       

 

 ふと罪悪感に囚われるフィオラヴァンテ。そんな時もマレーに、これは女性の自尊心を持ち上げる“善行”だと諭され、またまた気が付けば、「ヴァージル&ボンゴ」という、自分たちの新しいコンビ名まで決めていた。
 そんな一方でマレーは、ある女性に熱心なセールスを繰り広げていた。マレーのような不マジメなユダヤ教徒ではなく、厳格な宗派の高名なラビの未亡人アヴィガルだ。まだ若く美しい彼女が、夫の死後ずっと喪に服している姿を見たマレーは、「人は触れ合いが必要だ」と説得し、フィオラヴァンテの“セラピー”を受けることを承諾させる。

 フィオラヴァンテのアパートで、優しく背中をマッサージされたアヴィガルは、ハラハラと涙を流す。「ずっと誰も私の体に触っていないから……」という彼女の涙のワケに、心を揺さぶられるフィオラヴァンテ。2人は普通の恋人同士のようにデートを重ね始める。
 2人の恋は、ジゴロにとっては“ご法度”、ユダヤ教徒にとっては“禁忌”だった。ある日、アヴィガルに想いを寄せる幼馴染のドヴィの告発で、マレーは無理やりユダヤ法の審議会にかけられてしまう。ポン引きの罪は“石打ちの刑”だという、まるで中世の裁判だ。ちょうどその頃、フィオラヴァンテも自らの恋のせいで、ある窮地に陥っていた・・・


※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

監督ジョン・タトゥーロが描く、多種多様な女性像

外見上は極端に正反対なアヴィガルとパーカー医師だが、二人はよく似た感情を味わうことになる。「アヴィガルは信仰や住む地域で抑圧されている一方で、パーカー医師は全てを手に入れている。
しかし彼女たちは共に籠の中の鳥で、二人はまるで線の端と端のようなものなんだ。」とタトゥーロは言う。彼女たちはそれぞれ慣れ切った世界から飛び出し、自身を自由にする必要があると感じていた。ただフィオラヴァンテとパーカー医師の関係が“興奮”や“所有欲”に基づく一方で、アヴィガルとの関係はより深い相互的な結びつきになっていく。

「アヴィガルとフィオラヴァンテはくっつきそうだと思うかもしれないが、彼らが住んでいる世界には大きな違いがある。でも、それでも彼は彼女の世界を広げるし、彼女もまた彼の視野を広げているんだと思うよ」とタトゥーロは語る。

監督も務めたタトゥーロは本作の中に多種多様な女性像を作り上げている。彼はこう説明する。「僕は女性たちに全く違うタイプになってもらいたかった。小柄、大柄、黒人、白人、ヒスパニック。草稿の初期段階では、もっと年齢の高い女性もいたんだよ。
現実世界でも、映画を作っていく中で多くの女性たちと働いてきたけれど、彼女たちにはますます興味をそそられていく。

もしも立て続けに映画を5本作らせてもらえたとしても、僕は男性ばかりの映画なんて絶対に撮らないね。そんな映画は僕自身見たくもない。僕が敬愛するイングマール・ベルイマン、ジャン・ルノワール、トリュフォー、そしてルイ・マルといった監督たちが、皆とても強烈な女性キャラクターを作り上げてきたからだ」


ジゴロたちを通しての、現代へのメッセージ

本作の登場人物―フィオラヴァンテ、マレー、アヴィガル、パーカー医師、ドヴィ、そしてセリマ ―を結びつける特性は、みなが誰か他の人と繋がりたいと望んでいる事である。「それは生きるエネルギーだ」とタトゥーロは言う。「人生に壁が立ちはだかっている人もいれば、全てを手に入れたかのように見えて、まだ何かが足りていない気がしている人もいる」

マレーとフィオラヴァンテの独特なパートナーシップが、映画の中の登場人物全員に影響を及ぼして波紋を起こすことになる。マレーとアヴィガルの子供たちが交流を始め、アヴィガルとパーカー医師の切望と探求心は満たされていく。ただ単に楽しみを追求するセリマも満足し、ドヴィはフィオラヴァンテに習ってアヴィガルに対する愛情表現の仕方を学んでいく。

そしてフィオラヴァンテ自身も自分自身の心が導く道をみつけるのである。どの人物も巡ってきた人生のチャンスを、掴めるうちに掴もうとしている。パラディは言う。「アヴィガルの台詞で“私たちが生きているのはほんの少しの間だけ”というのがあるけれど、それは、“人生は、生きているうちに生きろ”という意味なの。そこに美がある時に、チャンスが目の前を通り過ぎる時に、見ていないで掴み取れ!ってね。どんな人でも少しくらいの幸福をつかむ権利があるはずだわ、たとえたくさんでなくてもね」


 

 









■監督・脚本:ジョン・タトゥーロ
1957年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。
イェール・スクール・オブ・ドラマで学んだ後、ジョン・パトリック・シャンリーの「ダニーと紺碧の海」での主役ダニー役で舞台デビューを果たし、オビー賞とシアター・ワールド賞を受賞。
映画では、91年にコーエン兄弟監督作『バートン・フィンク』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。翌年には、『マック/約束の大地』(92)で監督デビューを果たし、カンヌ国際映画祭のカメラ・ドールを受賞した。
その他の主な出演作に、『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)、『モ’・ベター・ブルース』(90)、『ジャングル・フィーバー』(91)、『クイズ・ショウ』(94)、『ミラーズ・クロッシング』(90)、『ビッグ・リボウスキ』(98)、『オー・ブラザー!』(00)、『トランスフォーマー』(07)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(11)など。他、監督作として『天井桟敷のみだらな人々』(98)、 『Romance & Cigarettes』(05)、『Passione』(10)などがある。


■スタッフ
監督・脚本:ジョン・タトゥーロ
撮影:マルコ・ポンテコルヴォ
美術:レスター・コーエン
衣装:ドナ・ザコウスカ
編集:シモーナ・パッジ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://gigolo.gaga.ne.jp/

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原題:Fading Gigolo
2013年/アメリカ/90分/カラー/ヴィスタ/5.1chデジタル
日本語字幕:稲田嵯裕里
配給:ギャガ