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ターナー、光に愛を求めて
Mr. Turner

2015年6月20日Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開


■ストーリー

 19世紀、オランダの旅行から帰ってきたターナーは、無事を喜ぶ父に温かく迎えられる。父は絵の具やキャンバスを調達し、アトリエ兼住居に設けたギャラリーで買い手をもてなすなど、助手としてターナーを支えていた。

 最愛の父と働き者の家政婦ハンナと暮らすターナーだが、世間に隠している娘が二人いた。未亡人のダンビー夫人との間にできた子供だが、彼女との関係が終わってからは、ターナーは金銭的な援助もせず、会いにいくこともなかった。

 


■キャスト
ティモシー・スポール
ポール・ジェッソン
ドロシー・アトキンソン
マリオン・ベイリー
レスリー・マンヴィル
ルース・シーン
マーティン・サヴェージほか
 











       

 

 ターナーは閃きを求めて旅に出る。船でたどり着いたのは、港町マーゲイト。ぶらりと入った宿の窓から見える光きらめく海に、たちまち創作意欲をかきたてられる。女将のブース夫人は親切だったがターナーは旅先では偽名を使うという習慣を押し通す。
 旅から戻り、創作に没頭していたターナーのもとに自然科学者のサマヴィル夫人が訪ねてくる。ターナーの父は元理髪師だが、知識と教養に溢れた夫人と互角の会話を交わす。学校教育を受けなかったターナーに、独学で学んだ読み書きを教えたのは父だった。そんな父に似て50代になっても好奇心旺盛なターナーは、夫人が見せてくれたプリズムの実験に夢中になる。

 ロイヤル・アカデミーの教授を務めるターナーは、さっそくサマヴィル夫人の実験にインスパイヤされた、色彩と光についての持論を講義する。だが、科学と美術を結びつけることなど思いもつかない芸術家たちは、壇上のターナーを唖然と見つめる・・・



※   ※   ※

 

       
 






       


■プロダクション・ノートより

ターナー

英国最高のロマン主義の風景画家。1775年4月23日、ロンドン、コヴェント・ガーデンの理髪店を営む一家に生まれる。1783年、8歳のときに、5歳の妹メアリー・アンを亡くす。この頃から母親が精神を病み、母親との関係が生涯の女性関係に大きく影響したとみられる。

1789年、14歳でイギリス美術界最大の権威を誇るロイヤル・アカデミーへ入学。風景画の制作に打ち込む。とくに海辺や山岳地帯の光景に傾倒し「旅の画家」として各地を飛び回る。

1799年、24歳でロイヤル・アカデミーの準会員に選出。同時期、サラ・ダンビーと交際を開始。のちに2女をもうけるが、生活をともにすることはなかった。1802年、史上最年少の27歳でロイヤル・アカデミーの正会員に選出。1804年、母親が精神病院で亡くなる。

1807年、ロイヤル・アカデミーの遠近法教授に就任。1811年から講義を行う。1829年、最大の理解者であった父ウィリアムが他界。同じころ、船乗りの妻ソフィア・ブースの家に間借りし、まもなく未亡人となったソフィアと交際を開始するが、その関係は頑なに隠された。1845年、70歳でロイヤル・アカデミーの院長代理を務めたが、晩年、伝統的な表現方法を大きく逸脱した独自の画風は批評の的となることも多く、自身の作品を手元に置くことを好んだ。

1851年12月19日、チェルシーのソフィアの家で静かに息を引き取る。享年76歳。遺言で、専用のギャラリーを設けることを条件に自分の全作品を国家に寄贈するとともに、自らの作品2点を尊敬するクロード・ロランの作品と並べて掛けることを望んだ。現在、テート・ブリテン美術館の一角にターナー専用の展示室が増設され、ナショナル・ギャラリーには《カルタゴを建設するディド》と《霧のなかを昇る太陽》が、クロードの作品と並べて展示されている。


 

 









■監督:
1943年イギリス、サルフォード出身。61年に王立演劇芸術学校に入学、のちにロンドン・フィルム・スクールで学ぶ。即興劇を経て71年に『ブリーク・モーメンツ』で長編映画監督デビュー。ロカルノ国際映画祭金豹賞やシカゴ国際映画祭グランプリを受賞。

以降、舞台を中心に活躍。傍ら、ケン・ローチ、スティーブン・フリアーズと共にBBC製作のTV映画を製作。劇場用映画第2弾は処女作から17年後に製作された『ハイ・ホープス キングス・クロスの人々』(88年)。翌年、映画製作会社THIN MAN FILMSを設立。カンヌ国際映画祭において『ネイキッド』(93年)で監督賞、『秘密と嘘』(96年)でパルム・ドールを受賞。『ヴェラ・ドレイク』(04年)ではヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を手にした。

以降『家族の庭』(10年)をはじめ、家族や愛をテーマに、普通の人々の繊細な感情を情熱的に描き出した作品を発表。名実ともにイギリスを代表する監督のひとりである。本作ではカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞、芸術貢献賞を受賞、アカデミー賞4部門にノミネートされた。

■スタッフ
監督・脚本:マイク・リー
撮影:ディック・ポープ
美術:スージー・デイヴィス
衣装:ジャクリーン・デュラン
編集:ジョン・グレゴリー
音楽:ゲイリー・ヤーション
ヘアメイク:クリスティン・ブランデル

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.cetera.co.jp/turner/


(C)Thin Man Films
原題:Mr. Turner
2014年/イギリス・フランス・ドイツ合作 /150分
日本語字幕:
配給:アルバトロス・フィルム、セテラ・インターナショナル