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ランジェ公爵夫人
Ne touchez pas la hache

2008年4月5日より岩波ホールにて公開


■ストーリー
  1823年、ナポレオン軍の英雄アルマン・ド・モンリヴォー将軍は、スペインのマヨルカ島にあるカルメル会修道院ミサに参加していた。
彼は5年前に突然、自分の前から去っていったアントワネットを探し、ここまで来ていた・・・。

 5年前。虚飾と欺瞞に満ちた貴族社会が幅を利かせていた時代のパリ、サンジェルマン。ある夜、セリジー伯爵夫人宅の舞踏会で、モンリヴォー将軍を見かけ、興味を抱いたランジェ公爵夫人は、舞踏会の間中、彼にアフリカ奥地での冒険談を話させる。話の途中で、続きを自分の家に来て話すよう誘う。公爵夫人に恋心を抱いたモンリヴォー将軍は、彼女を恋人にしようと誓う。

 

 

 


■キャスト
ジャンヌ・バリバール
ギョーム・ドパルデュー
ビュル・オジエ
ミシェル・ピッコリ
アンヌ・キャンティノー
マルク・バルベ
 




       

 

 モンリヴォー将軍を毎晩自分の屋敷に訪問させ、恋心をもてあそびながら、自分には指一本触れさせない公爵夫人。やがて、夫人の思わせぶりな態度に、モンリヴォー将軍は反撃に転じる。
モンリヴォー将軍の行動に、恋に目覚めてしまうランジェ公爵夫人は後悔し、熱烈な手紙を将軍に送り始めるのだが・・。

※   ※   ※


       
 






       


■プロダクション・ノートより

Q:バルザックのどこに魅力を感じているのですか?
1950年代のことですが、エリック・ロメールのおかげでバルザックを発見することができました。
当時、私たちはシネフィル同士で、しばしばあちこちで会っていました。そのときロメールは「映画作家になりたいのなら、バルザックとドストエフスキーは欠かせない」と言ったのです。私はそのどちらも読んでいませんでした。
でも、ロメールは私たちにとっても先生でしたから、その言葉に促されてさっそくバルザックを読み始めたものの、なかなかその内容が入ってこないのです。「人間喜劇」シリーズを手にとってみるものの、いつのまにか手から滑り落ちていました。
ある時、「暗黒事件」を読んでみたところ、バルザックを読む鍵のようなものをその小説の中に見つけることができました。バルザックを読むには、その一語、一語を読んでいくことが重要なのですが、そのことにようやく気づいたのです。

バルザックの映画化については、毎回、その経路が異なっているのですが、最初にバルザックをとり上げた『アウト・ワン』の当時、私はまだバルザックをきちんと理解できていませんでした。というのも、当時の私は、バルザックを読む術を体得できてなかったのです。『アウト・ワン』のもとになったのは「十三人組物語」ですが、かなりの部分、原作を離れて俳優たちの即興に任せてしまっています。しかしながら、その後、「暗黒事件」とめぐり逢ったのをきっかけに読み直しました。すると、バルザックの天才的な作品構成に気づき、また、フラッシュバックの最初の発明者であることにも気づいたのです。



 
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ジャック・リヴェット監督が、フランスの文豪バルザックの名作を忠実に映画化した文芸作品。19世紀初頭パリの貴族社会を舞台に、男と女の普遍的な関係を描き出す。重厚感のある作品。
階級批判や、女性の男性に対するスタンスの設定が、今に通じるものがありそうなところが普遍的といわれるところかもしれない。ピエール・サルヴァドーリ監督のコメディ作品『プライスレス』と比較してみるとおもしろい。
秘密結社のアイコンも(時計と修道院の床に?)さりげなくクローズアップされるので、探してみると楽しい。 (JS)








■監督・脚本:ジャック・リヴェット
1928年フランス・ルーアン生まれ。ヌーヴェル・ヴァーグを牽引したひとり。「カイエ・デュ・シネマ」誌の編集長を'63年から'65年まで務めた。
薬剤師の息子として生まれ、ルーアンにいた'40年代後半の十代の頃からシネクラブを主宰する。'49年には最初の短編『Aux quatre coins』を撮る。その頃、エリック・ロメールと出会い、映画批評誌「ラ・ガゼット・デュ・シネマ」の創刊に参加。また、これを母胎として'51年に「カイエ・デュ・シネマ」誌が生まれ、アンドレ・バザンの旗のもと、リヴェット、ロメールのほか、ゴダール、トリュフォーらが集うとともに、のちのヌーヴェル・ヴァーグ運動の発火点となった。

'56年には、短編『王手飛車取り』を発表。長編を撮る機会になかなか恵まれず、'58年に撮影を開始した『パリはわれらのもの』は'60年に完成。’66年、第2作『修道女』を完成させるがフランス国内では上映禁止になる。'68年には『狂気の愛』、'70年には12時間にわたる長大な『アウト・ワン』を撮り、実験的な手法を駆使した作品によって評価を集め、'74年『セリーヌとジュリーは舟でゆく』、'75年『デュエル』などの傑作を発表。
さらに’80年代には、’81年『北の橋』、'83年『地に堕ちた愛』、'88年『彼女たちの舞台』と、極端な実験性から脱皮した、しかしなお〈陰謀〉や〈秘密結社〉といったリヴェット的テーマも色濃い作品を連打。'91年には『美しき諍い女』で話題となり、カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞。また'94年のジャンヌ・ダルク2部作『ジャンヌ/愛と自由の天使』『ジャンヌ/薔薇の十字架』では、壮大な史劇を撮り、一方、その翌年の『パリでかくれんぼ』では、『彼女たちの舞台』を引き継ぐような軽やかな少女たちの世界を見せた。そして'01年の『恋ごころ』では軽妙なコメディ・センスを覗かせる作品を撮る。



■スタッフ
監督・脚本:ジャック・リヴェット
原作:オノレ・ド・バルザック
脚本:パスカル・ボニツェール / クリスティーヌ・ローラン
撮影:ウィリアム・ルブチャンスキー
編曲・音楽監修:ピエール・アリオ
美術:マニュ・ド・ショーヴィニ
衣装:マリア・ラメダン=レヴィ
製作:マルティーヌ・マリニャック / モーリス・タンシャン / ルイジ・ムジーニ / ロベルト・チクット / エルマンノ・オルミ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.cetera.co.jp/Lange/index.html

(原題:NE TOUCHEZ PAS LA HACHE
2006年 /フランス、イタリア合作/35mm/137分/1:1.85/カラー
字幕翻訳:寺尾次郎
配給: セテラ・インターナショナル

(C) 2006 Pierre Grise Productions - Arte France Cinema - Cinemaundici


     


■フィルモグラフィ
※は日本未公開
1949年 『Aux quatre coins』(短編)※
1950年 『Le Quadrille』(短編)※
1952年 『Le Divertissement』(短編)※
1956年 『王手飛車取り』(短編/DVDのみ)※
1960年 『パリはわれらのもの』(シネクラブ上映)※
1966年 『現代の映画作家 ジャン・ルノワール』(TV用作品)※
1966年 『修道女』
1968年 『狂気の愛』
1970年 『アウト・ワン』※
1971年 『アウト・ワン/スペクトル』(シネクラブ上映)※
1974年 『Naissance et mort de promethee』※
1974年 『Essai sur l'agression』※
1974年 『セリーヌとジュリーは舟でゆく』
1975年 『デュエル』(シネクラブ上映)※
1976年 『ノロワ』(シネクラブ上映)※
1977年 『メリー・ゴー・ラウンド』(シネクラブ上映)※
1981年 『北の橋』
1980年 『Paris s'en va』(短編)※
1983年 『地に堕ちた愛』
1985年 『嵐が丘』
1988年 『彼女たちの舞台』
1991年 『美しき諍い女』
1991年 『美しき諍い女/ディヴェルティメント』
1994年 『ジャンヌ/愛と自由の天使』
1994年 『ジャンヌ/薔薇の十字架』
1995年 『パリでかくれんぼ』
1995年 『ニノンの冒険』(『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』中の1編)※
1997年 『シークレット・ディフェンス』(シネクラブ上映)※
2001年 『恋ごころ』
2003年 『Mの物語』
2006年 『ランジェ公爵夫人』

テキストはプレス資料より抜粋して転載。