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いま ここにある風景
エドワード・バーティンスキー:マニュファクチャード・ランドスケープ「CHINA」より

Edward Burtynsky: Manufactured Landscapes

2008年7月12日より東京都写真美術館ホールにて公開、シアター・イメージフォーラムにてレイトショー公開


■ドキュメンタリー
  中国、巨大工場の中、横移動で撮られた静かな映像が続く。
左右に黄色い建物が並ぶ中、工場従業員たちが続々と集まってくる。

TED会議。レクチャーを行うバーティンスキー。「産業の風景」を撮り始めたきっかけを語る。ペンシルバニアで迷い込んだ炭鉱町、そこからライフワークが始まった。原料はどこから来るのか、私たちは漠然と知っているのに、そこから切り離されている。それを意識に呼び起こす写真が撮りたい。

 

 


“Manufacturing #18″
Cankun Factory, Zhangzhou, Fujian Province, China.2005
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY

■出演
エドワード・バーティンスキー
 




"Nickel Tailings #34",
Sudbury, Ontario, Canada. 1996
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY


“Shipyard #11″,
Shipyard at Qili Port, Zhejiang Province, China.2005
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY



       

 

 原料が中国で製品になる。世界最大のアイロン工場と廃棄されたアイロンが積まれたごみの山。そして電子機器のごみのリサイクルと知られる町へ。有毒物質による大気汚染や水質汚染が心配されている町だ。

2001年バングラデッシュのチッタゴン船舶解体海岸。20歳そこそこの若者たちが古くなった船舶の危険な解体作業を行っている。タンカーの船底に残った石油を彼らは素手でかき出す。バーティンスキーは、ある日、自分の生活がいかに石油付けになっていたかに気づいた。それが、この地へと彼が繋がるきっかけだ。

そして、靄の中に三峡ダムが姿をあらわす・・・

 

※   ※   ※


       
 



“Dam #6″
Yangtze River, China.2005
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY


“Three Gorges Dam Project, Feg Jie #5″
Yangtze River, China.2002
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY



“Shipbreaking #49″
Shipbreaking in Chittagong, Bangladesh.2001
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY


       


■プロダクション・ノートより

■Artist's Statement
産業によって姿を変えられた自然は、私の作品の重要なテーマです。
再生資源分別場、炭鉱、採石場、精錬場は私たちの普段の経験の外にある場所ですが、しかし私たちの日常生活は、そこから生み出されるものと切っても切れない関係にあります。
これらのイメージは、現代生活が抱えるジレンマのメタファーなのです。イメージは惹きつけると同時に反発を生み、誘惑するとともに、恐れを感じさせる。
私たちは欲望にひきづられています。誰もがよい生活を送りたい。しかし、私たちの成功の影で、世界が苦しんでいることを意識的であれ、無意識的であれ、気がついているのです。
消費のための物質を供給してくれる自然に依存しながら、同時に地球の健康を心配している。この事態は、私たちを居心地悪い矛盾にさらします。私にとって、これらのイメージは、我々の時代を映し出す鏡です。


■Director's message
映画はバーティンスキーに付き添って中国を旅します。彼は中国の壮大な“産業革命”の痕跡とその影響を撮影します。百万人以上の移住者を出すことになる世界最大の長江・三峡ダムや、長さが1キロはあろうかという巨大工場、上海の息を呑むような規模の再開発などが彼のカメラの対象であり、そして私たちの映画の被写体でもあるのです。
『いま ここにある風景』は、バーティンスキーの写真が語るものを拡大し、私たちが地球に与えた深い衝撃について考えさせ、産業化の努力の中心と、それにより生み出される廃棄物で埋まった土地を同時に示します。
写真を力強いものにしているのは、決してお説教ではない点です。私たちは皆これに関わっているのだ。そう写真は語ります。
たやすい答えなどないのだと。映画もこのやり方を引き継ぎ、単純な判断や、あれかこれか方式の解決法を排して、問題の複雑さを提起します。
この過程の中で、映画は世界への意識と、世界の中での私たちの生き方を、転換しようとするのです。

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産業の犠牲となった風景を映し出してきたフォトグラファーを通して、世界の工場と化した中国の風景や、バングラデッシュの船体解体現場など、我々が見てない社会的風景を追ったドキュメンタリー。
エドワード・バーティンスキーは、自分の使っている車やパソコンが、バングラデッシュや中国とリンクしていることを強調する。
産業の犠牲となった風景を捉えた先駆的写真家にはLewis Baltzがいる。社会的なシステムを引き気味の構図で大きく捉えている写真家には、Andreas Gurskyが著名である。
この2つの要素をもつバーティンスキーの作品は、大量消費や地球規模の環境破壊を想起させるのに成功している。アートというよりはよりドキュメンタリーに近いような印象を受ける彼の作品が、この映画の主人公である。(J.S)





“China Recycling #9″
Circuit Boards for recycling in Guiyu, Guangdong Province, China.2004
COPYRIGHT EDWARD BURTYNSKY



■監督:ジェニファー・バイチウォル
モントリオール生まれのドキュメンタリー監督。初の長編『ポール・ポウルズの告白シェルタリング・スカイを書いた男』は、国際エミー賞の最優秀アート・ドキュメンタリー賞をを受賞。ほかに『The Holier It Gets(いよいよ尊く)』、『The True Meaninngs of Pictures(写真の真の意味)』など。


■エドワード・バーティンスキー Edward Burtynsky
カナダを代表する国際的な写真家。1955年、オンタリオ生まれ。10代の頃、生まれ故郷のオンタリオのゼネラルモーターズの工場や金鉱で働いた。最初の写真はその自動車工場を撮ったもの。1978年以来、鉱山、採石場、リサイクル処理場、油田、製油所、船舶の解体現場などを被写体としている。2005年、第1回のTED賞を受賞。

■スタッフ
監督:ジェニファー・バイチウォル
撮影監督:ピーター・メトラー
編集:ローランド・シュリンメ
音響デザイン:ピーター・メトラー、ローランド・シュリンメデイヴィッド・ローズ
        ジェイン・タッターサル、ダン・ドリスコル


     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://imakoko.cinemacafe.net/#

2006年/カナダ/87分/16mm,HD→35mm/1:1.85/カラー
字幕翻訳:松岡葉子 字幕協力:鈴木真理子
配給:カフェグルーヴ、ムヴィオラ

     


■映画『いまここにある風景』公開記念/国際的写真家エドワード・バーティンスキーによる講演会&スライドショー 

■タイトル:
いまここにある風景〜アートとドキュメントのあいだで
国際的写真家エドワード・バーティンスキーを迎えて

■日時:6月11日(水) 18:30(開場18:00) 終演20:00
■会場:東京工芸大学 中野キャンパス 芸術情報館メインホール
  (東京都中野区本町2-9-5)
  最寄り駅/東京メトロ丸の内線・都営地下鉄大江戸線 中野坂上駅下車 

■講師:エドワード・バーティンスキー
■司会進行:東京工芸大学芸術学部 西村安弘 准教授
■当日、ゲストをお呼びする可能性あり
■主催:東京工芸大学 映像表現学科研究室  
■協力:ムヴィオラ
■入場料は無料です。どなたでもご参加いただけます。
  当日は先着順の入場となります。(定員:200名)
  会場が満席の場合、入場をお断りする場合がありますので、お早めにご来場下さい。
■お問合せ先:ムヴィオラ

http://imakoko.cinemacafe.net/#
http://www.eic.or.jp/event/?act=view&serial=15163