cinema

 

田園の守り人たち
Les gardiennes

2019年7月6日より、岩波ホールほか全国順次公開


■ストーリー

 第一次大戦下のフランスの田園地方。農園の未亡人オルタンスは、長男コンスタン、次男ジョルジョを戦場に送り、近所に嫁いだ娘ソランジュとともに農作業に追われる日々。
 独り者の兄アンリは、オルタンスと過ごすことが多いが、高齢で重労働には耐えられない。ソランジュもまた、夫クロヴィスを兵にとられ、義理の娘マルグリットとともに留守を守っている。

  ■キャスト
ナタリー・バイ、 ローラ・スメット
イリス・ブリー、 シリル・デクール
ジルベール・ボノー
 
         
 






 


 ある日、戦場での功績を上げ、中尉に昇格したコンスタンが休暇でもどり、悲惨な前線の様子を語る。オルタンスは、収穫の人手不足を心配しながら戦地へ戻る長男を笑顔で見送る。

 収穫時期が迫り、オルタンスは孤児院出身で20歳のフランシーヌを雇い入れる。誠実で働き者の彼女は、皆に気に入られ、家族のように暮らし始める。村の女たち総出で行う刈入れは無事に終わり、オルタンスはフランシーヌの働きを褒め、契約を延長する。

 戦場からの訃報を恐れる不安な日々が続く。休暇で戻ったソランジュの夫クロヴィスも厳しい戦況を目の当たりにして、酒量が増していた。そんな重苦しさを和らげるのがフランシーヌの歌声だった。
 やがて休暇で戻ってきた次男ジョルジョとフランシーヌは互いに惹かれ、手紙の約束を取り交わす・・・

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■グザヴィエ・ボーヴォワ 監督インタビュー(抜粋)

Q:フランシーヌの演技は並外れて素晴らしいだけでなく、観客は、フランシーヌが主人公だということを次第に理解していきます。

A:フランシーヌが少しずつ重要な存在になっていくというのは本当だ。これは脚本家ではなく、監督が選んだことだったんだ。脚本監督がいて、編集監督がいる。僕は撮影監督だ。
映画に魂があると信じるなら、その魂が語りだすのを待たなければいけない。そして、その声に耳を傾け、それに従う覚悟がないといけないんだ。
僕がイリスを見たとき、その存在感に圧倒された。だから僕は、彼女に与えられて当然のスペースを与えたんだ。彼女のおかげで、フランシーヌは20世紀初頭の女性になったんだよ。
彼女を見つけるために、無名の人物や新人を対象にキャスティング・セッションを始めた。僕は、1910年代の農民を演じる人を探していたんだ。前腕にタトゥーを入れていて、おべんちゃらを言う女優みたいのはやだった。
ある日、キャスティング・ディレクターが運よく本屋のドアのところでイリスに出くわしたんだ。カレンは彼女を引き止めて、スクリーンテストを受けてみないかと誘った。ほんの数秒の出来事だったんだよ。その奇跡がなければ、イリスは映画に出演することはなかったんだ。

Q:彼女はどのような人物なのですか?

A:23歳で、図書館学の学位を取ったばかりだった。映画に出演するとはこれまで思ってもみなかったらしい。スクリーンテストで、赤ん坊を守り続ける決意をして、その子に自分の名前を与え、いずれはその子が彼女を守る未来を予感する、という場面を彼女に演じてもらった。12秒足らずのシーンだったけれど、僕は唖然とした。そして、シルヴィエ・ピアラの電話した。彼女はすぐの同意してくれたよ。

Q:ミシェル・ルグランと一緒に仕事をするのは、『チャップリンからの贈り物』に続いて2作目ですね。

A:僕にとっては、ミシェルと一緒に仕事をするのはとても幸運なことなんだ。そして僕らは友達になった。この映画では、彼が映画を観てから音楽が必要かどうかを決めることにしたんだよ。そして、フランシーヌの役は音楽があったらいいということがわかった。そして彼女のために、テーマを探した。特にドルメン(巨石の遺跡)でのラブシーンのためにね。

Q:男たちが帰ってきた時、口論になる彼らを見て、それでも戦争よりもずっといいと言う娘に向かってオルタンスが「以前の姿に戻ったのよ」と言います。人はそれを見て、オルタンスは元の普通の状態に戻って喜んでいると思うかもしれませんが、実際はその逆で、何も変わっていない。女性の地位は全く向上していない、ということなんですよね。

A:その通り。あれがこの映画の中で最も重要なセリフかもしれないね。女たちがすべてのことをしていた。列車を動かしていたのも、工場で働いていたのも、国民に食べ物をもたらしていたのも女たちだった。そして男たちが帰ってくると、すべては元に戻ってしまったんだ。

 
 
     

監督・脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ
1967年パ・ド・カレー生まれ。映画批評家ジャン・ドゥーシェとの出会いで映画界に入る。アンドレ・テシネ・マノエル・オリヴェイラの撮影に参加、『Nord』(89)で長編デビュー。1995年に『N oublie pas que tu vas mourir』でカンヌ国際映画祭審査員長賞とジャン・ヴィゴ賞を受賞。『マチューの受難』(01)、『神々と男たち』(10)で、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、セザール賞作品賞を受賞。ほかに、『チャップリンからの贈り物』(14)がある。
俳優としては『ポネット』(96)、『夜風の匂い』(99)、『マリー・アントワネットに別れを告げて』(12)、『永遠のジャンゴ』(17)などがある。

■スタッフ
監督・脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ
製作:シルヴィエ・ピアラ、ブノワ・ケノン
撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ
美術:ヤン・メガー
編集:マリー=ジュリー・マイユ
音楽:ミシェル・ルグラン
衣装:アナイス・ロマン
原作:エルネスト・ペロション

 
       

■オフィシャルサイト
http://moribito-movie.com/

(C)2017 - les films du Worso - Rita Productions - KNM - Pathe Production - Orange Studio - France 3 Cinema - Versus production - RTS Radio Television Suisse

原題:Les gardiennes
英題:岩辺いずみ
字幕翻訳:
製作年:2017年
製作国:フランス・スイス合作
上映時間:135分
配給:アルバトロス・フィルム