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鉄道運転士の花束
Dnevnik masinovodje

2019年8月17日(土)、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開


■ストーリー
 60歳のイリヤは定年間近の鉄道運転士。現役中に28人を殺してしまったという不名誉な記録を持っている。
 イリヤが養子として迎えた19歳になる息子シーマは、家業である義父の仕事の後を継ぐ準備をしている。そんな息子にイリヤは、事故は避けて通れないものだと折に触れて話す。

 
■キャスト
ラザル・リストフスキー、ペータル・コラッチ
ミリャナ・カラノヴィッチ、ヤスナ・デュリチッチ
ムラデン・ネレヴィッチ、ニーナ・ヤンコヴィッチ
ダニカ・リストフスキー
 
         
 




 

 シーマは人殺しになりたくないという恐怖を抱きながらも、初乗務から初殺人に至るまでどれくらいの時間がかかるのか気になって仕方がない。イリヤは「一週間のうちに一瞬で終わる」と励ます。

 運転士の業務についたシーマは、不安を抱き、汗をかき、夜も眠れなくなる。1週、2週、3週間と過ぎるが、シーマは無事故を続け、ついにはその緊張感に耐えられなくなる。そんなシーマを助けるため、イリヤは自殺志願者の人々を探し出し、高層ビルや橋から飛び降りる代わりに電車に轢かれてほしいと交渉する。
 「理解してくれ、青年の命がかかってるんだ!」と説得にかかるのだが、ぴったりだと思われた自殺志願者は生きる選択をしてしまう。

 他に良い方法が見つからないイリヤは、一人息子のために線路に横たわる。定刻よりかなり遅れ、ようやくシーマの運転する列車がやってくる…。

           ■   ■   ■

 
         
 




 
監督インタビュー
(抜粋)

この映画を作るきっかけは?

祖父が蒸気機関車の運転士でした。彼は”チャンピオン”と呼ばれていて、子供のころ私はこの祖父のニックネームがとても自慢でした。祖父の運転士としての技量と総合的な質の高さを示すものだと思っていたからです。
並ぶ者なき最高の運転士だと確信していましたし、実際最高でした。ただし、運転の技量を除けばです。というのも、彼は意図的でないにしろ線路上で殺してしまった人の数が最高だったのです。その数17でした。年を経て、私は祖父のニックネームの意味を知ることになったのです。

オリジナル脚本ですか?

そうです。セルビアにおける鉄道運転士の人生と不運な運命がベースです。無実の殺人と多くのアクシデントとともにある彼らの物語をどのように語ればいいのか、手がかりを見つけるまでに5年かかりました。
いったいどんなジャンルにすべきか? 結局ブラックコメディとすることに行きつき、運転士たちも同意してくれたのです。

キャスティングが素晴らしいですが、どのようにして決めたのですか?

主役でプロデユーサーであるラザル・リストフスキーのための当て書きです。これは彼と組んだ4番目の作品です。他の俳優については脚本を書きながら夢想していました。リストフスキーの息子になるシーマ役以外で悩むことはありませんでした。
とても若く、優しくて繊細、鉄道人生の暗黒面に恐怖を抱く人物。私は青い瞳をしたロシアバレエダンサーをイメージしていました。キャスティングを進める中で最初に現れたのがペータル・コラッチだったのです。彼は社会学を学ぶ学生で俳優ではありません。

 
 
   
 
 

■監督・脚本:ミロシュ・ラドヴィッチ
1955年セルビア生まれ1987年、短編『Iznenadna I prerana smrt pukovnika K.K』で、カンヌ映画祭審査員賞受賞。ほかに、1997年『Moja domovina』、2003年『Mali svet』など。

■スタッフ
監督・脚本:ミロシュ・ラドヴィッチ
製作:ラザル・リストフスキー、ペータル・リストフスキー
撮影:デュシャン・ヨクシモヴィッチ
美術:アリョーシャ・スパジッチ
編集:ジョルジェ・マルコヴィッチ
音楽:マテ・マテシッチ、シムン・マチシッチ
衣装:ドラギカ・ラウシェヴィッチ

 
       


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原題:Dnevnik masinovodje
製作年:2016年
製作国:セルビア、クロアチア
上映時間:85分
配給:オンリー・ハーツ

 
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