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パリの恋人たち
L'homme fidele
2019年12月13日より、Bunkamura
ル・シネマ他にて公開
■ストーリー
ジャーナリストのアベルは、3年近く同居している恋人のマリアンヌから、「妊娠したの」と告げられるが、「あなたじゃない」のまさかの一言で別れることになる。相手はアベルの友達のポールで、二人は結婚するという。
数年後、ポールの訃報が届く。彼の告別式で再会したマリアンヌの傍らには、息子のジョゼフがいた。悲しみに沈むマリアンヌの姿を見て、アベルは彼女への想いが消えていないことに気づく。そんなアベルを見つめているのは、ポールの妹のエヴ。少女の頃からアベルに夢中なイヴも、すっかり成長していた。 |
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キャスト/
レティシア・カスタ、リリー=ローズ・デップ、 ジョゼフ・エンゲル、ルイ・ガレル
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2週間後、マリアンヌからの電話を受け取り、食事に出かけたアベルは、外務省の広報アドバイザーをしているというマリアンヌの話に聞き入る。帰り道でマリアンヌのアパルトマンに立ち寄ると、ジョゼフがアベルに「ママがパパを殺した」と耳打ちする。毒殺したけれど、ママが医師と浮気して、もみ消したというのだ。
ある夜、マリアンヌとジョゼフと3人で映画を観た帰り、アベルはマリアンヌのアパルトマンに泊まり、そのまま同居することになる。だが、母親を取られたと思ったジョゼフは反抗的で、アベルも一度は捨てられたわだかまりが消えたわけではなく、3人の間には微妙な緊張感が漂っていた。そんな中、マリアンヌがなぜポールを選んだか、耳を疑う理由を打ち明ける。
互いの本心を探り合うアベルとマリアンヌに、いきなり嵐が降りかかる。エヴがマリアンヌに「アベルが欲しい。愛してないでしょ?」と詰め寄り、アベルにも「私にはあなた以外の男は存在しない」と告白したのだ。もし断ったら、「戦争よ」とエヴに宣言されたマリアンヌは、アベルに驚くべき“提案”をするのだが──。
■ ■ ■ |
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ルイ・ガレル監督 インタビュー
初監督作品では、ひとの感情というものをいかに描くかに心をくだきました。その結果、登場人物が熱にうなされるように心情を吐露する映画になりました。
本作では、その正反対を狙いましたので、登場人物の心持ちは読みとれません。誰も本当の気持ちを見せないので、一見するとロマンティックな映画には見えないかもしれません。
脚本家のジャン=クロード・カリエールと私のアイデアは、とてもシンプルでした。「ひとの気持ちはあてにならない」というものです。このあてにならなさは、独白による「心の声」で表現されます。「心の声」は映画ならではの表現であり、個人的にも大変気に入っていますので、使うことにしました。ひとがある音楽ジャンルに、なぜか惹かれてしまうように、私は「心の声」という手法に惹かれてしまうのです。
テーマはとてもありふれています。この映画の面白さは、登場人物の気持ちがわからない観客が、映画のあらゆる要素を登場人物の心持ちに引き寄せて好き勝手に解釈できるところにあります。
主人公には、何度も生まれ変わる「いたいけなひと」をイメージしました。ふりかかる災難をすべて楽しんでしまう人物です。サイレント映画時代の名優たちの、例えばバスター・キートンが演じるような、頭に鉢植えが落ちてきても「どういうことだ?」といぶかるのではなく、「けがしなくてよかった」と考えてしまうようなキャラクターです。
文学には短編小説と長編小説があります。私は本作を短編小説のように組み立てたいと考えました。気楽に読めて、サプライズがあり、みずみずしい短編小説であり、重苦しい心理ドラマのアンチテーゼでもあります。要するにこれは、今の時代の喜劇のありかたなのです。
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■ルイ・ガレル(監督・アベル)
1983年、フランス、パリ生まれ。父は映画監督のフィリップ・ガレル、母は女優のブリジット・シィ。幼少期より父親の監督作品に子役として出演し、フランス国立高等演劇学校で演技を学ぶ。
2001年、『これが私の肉体』(未)で俳優デビュー。2003年、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『ドリーマーズ』に出演。
ほかに、『ジョルジュ・バタイユ ママン』(04)、『パリの中で』(06)、『美しいひと』(08・未)、『愛のあしあと』(11)などに出演する。
父の監督作品、『恋人たちの失われた革命』(05)でセザール賞有望若手男優賞を受賞し、『愛の残像』(08)、『灼熱の肌』(11)、『ジェラシー』(13)、『パリ、恋人たちの影』(15)に出演。
その他の主な出演作は、『女優』(07・未)、『胸騒ぎの恋人』(10・未)、『イタリアのある城で』(13・未)、『サンローラン』(14)、『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』(15)、リリー=ローズ・デップ共演の『プラネタリウム』(16)、『愛を綴る女』(16)、ジャン=リュック・ゴダールに扮した『グッバイ・ゴダール!』(17)など。
監督としては、2008年に短編『Mes copains』(原題)でデビュー、レア・セドゥ出演の短編『女優と仕立屋』(10・未)、短編『La
regle de trois』(11・原題)を発表し、『Les deux amis』(15・原題)で初の長編映画を手掛ける。
実生活でもレティシア・カスタがパートナー。
■レティシア・カスタ (マリアンヌ)
1978年、フランス、ポン=オードゥメール生まれ。国際的なモデルとしてキャリアをスタートさせ、世界のモード誌100以上でカヴァーを飾る。
1999年から女優として活動し、『ジターノ』(00)、パトリス・ルコント監督の『歓楽通り』(02)、『この胸のときめきを』(02)、TV映画「サンフェリーチェ/運命の愛」(04)、『ヴィザージュ』(09・未)などに出演。
2010年、『ゲンスブールと女たち』に女優ブリジット・バルドー役で出演。
ほかに、アメリカ映画『キング・オブ・マンハッタン危険な賭け』(12)、『シュヴァルの理想宮
ある郵便配達員の夢』(19)などに出演。2016年には監督業に進出し、短編映画『En moi』をカンヌ国際映画祭で発表。
2012年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章し、2018年にはブシュロン160周年のアンバサダーに就任。
■リリー=ローズ・デップ
(エヴ) 1999年、フランス、パリ生まれ。母は女優で歌手のヴァネッサ・パラディ、父は俳優のジョニー・デップ。
2014年、『ザ・ダンサー』(16)でセザール賞有望若手女優賞にノミネート、『プラネタリウム』(16)でナタリー・ポートマン、ルイ・ガレルと共演。『Mr.タスク』のスピンオフ作品『コンビニ・ウォーズ
バイトJK VS ミニナチ軍団』(16)では主演。 ほかに、『Dreamland』(20・原題)、『Voyagers』(原題)などがある。
シャネルのアンバサダーとして、フレグランス「N°5ロー」とアイウェア「パール コレクション」の2つのキャンペーンの顔を務める。
本作で、セザール賞有望若手女優賞にノミネートされる。
■スタッフ
監督:ルイ・ガレル
脚本:ジャン=クロード・カリエール、ルイ・ガレル
共同脚本 : フロランス・セイヴォスNS
製作:パスカル・コシュトゥー、グレゴワール・ソルラ
撮影監督:イリーナ・リュプチャンスキー
美術:ジャン・ラバス
編集:ジョエル・アッシュ
美粧:マリー=アンヌ・ウー
衣装:バーバラ・ロワゾン
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■オフィシャルサイト
http://senlis.co.jp/parikoi/
(C)2018 Why Not Productions
原題:L'homme fidele 英題:A Faithful Man
制作国:フランス 2018年 /フランス語 / カラー / 75分 字幕翻訳:松岡葉子 配給:サンリス |
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